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政治

解散は「秒読み」段階に

岸田が待ち構える「内閣不信任案」

2023年5月号

「ご苦労様でした。ありがとうございます」
 四月二十四日午前零時二十分過ぎ。自民党選挙対策委員長、森山裕のスマートフォンが鳴った。声の主は首相岸田文雄。衆参両院の五補欠選挙で最後まで勝敗がもつれた参院大分補選で、NHKが自民党の白坂亜紀の当選確実を報じた直後のことだった。白坂の勝利で自民党の戦績は「四勝一敗」。岸田は一貫して自民党の勝敗ラインを「三勝二敗」としてきただけに大分の一勝の意味は大きかった。
 衆参の補選と参院広島選挙区の再選挙が同時に実施された二年前の自民党は三戦全敗。首相の菅義偉はこの敗北で衆院解散のチャンスを失い、秋の自民党総裁選を前に退陣に追い込まれた。その点で岸田の勝ち越しは「岸田で選挙は戦えない」との声を封じる効果があった。
 岸田が森山に真っ先に連絡を取ったのも、昨年八月の党役員人事でわずか七人の最小派閥の会長に過ぎない森山に選対委員長という要職を任せたことに結果が付いてきたからではないか。四月十五日の和歌山市雑賀崎漁港でパイプ爆弾を投げつけられた直後にも、一時退避先の和歌山県警本部から鹿児島で遊説中の森山と連絡を取り、遊説続行を決・・・

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