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WORLD

米国が招く「世界経済危機」

欧州と日本を翻弄する「迷惑大国」

2023年6月号

 ジョー・バイデン米大統領が世界経済をハラハラさせている。
 連邦政府の債務上限引き上げを巡り、バイデン政権は野党・共和党との協議で容易に譲歩せず、「債務不履行(デフォルト)」という言葉が飛び交って、世界各地の市場を混乱させた。その一方で、米国経済は、インフレーション、成長の鈍化、深刻な人手不足と、変調の兆しを示し始めた。
 来年の大統領選を前に、民主、共和両党は過激な主張に走りがちだ。バイデン大統領は、「中国狙い撃ち」の姿勢を強めており、世界経済全体が不透明さを増している。
 欧州最大のドイツ経済は五月末、二〇二二年第4四半期から2四半期連続でマイナス成長を記録し、公式に不況入りした。
 民主党政権下での債務危機は今や、十年おきくらいにやってくる、お馴染みのものである。
 ビル・クリントン大統領の時代は、ニュート・ギングリッチ下院議長(当時)、バラク・オバマ大統領時代は、ジョン・ベイナー下院議長(同)がそれぞれ敵役となり、ホワイトハウスを追い詰めた。
 今回の主役である、共和党のケビン・マッカーシー下院議長は、危機の早い段階・・・

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