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経済

イオン「ツルハ買収」への深謀遠慮

岡田元也「報復劇」に新展開

2023年9月号

「我々が会社提案に賛成したおかげで株主提案を退けることができたんだ。この恩はでかいぞ」。こう毒づくのは小売り大手、イオンの幹部だ。株主提案とは、香港のアクティビスト(物言う株主)ファンド、オアシス・マネジメントがドラッグストア大手のツルハホールディングスの株主総会に出していたもの。ツルハを救った「賛成」。その裏にはイオンの怨念と策略があった。
 オアシスはツルハに対して、社外取締役五人の選任などの議案を提案していた。ツルハ会長は鶴羽樹氏、社長は息子の鶴羽順氏が務めるが、同族企業による会社の私物化でガバナンスに不備があるというのがオアシスの主張だ。
 オアシスはツルハの株を一三%弱保有するとされる。信託口を除くと、一三%強のツルハ株を持つイオンが事実上の筆頭株主、そしてオアシスがそれに次ぐ株主だ。オアシスの提案にイオンが乗ったら、両社で計二六%程度の株を押さえられる。議決権行使比率が一〇〇%でないことを考えると、両社合算の実際の議決権比率は三割を優に超えることが予想され、ほかの株主の同調具合によっては株主提案が通りかねない状況だった。
 ツルハとイオンは資本・・・