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政治

少数派政権が「常態化」する時代

吉田 徹(同志社大学教授)

2025年10月号

 ――自民党総裁選後の日本の政治風景はどうなりますか。

 吉田 誰がトップになろうが、自民党と公明党が合わせて衆参で過半数を割っているので、少数与党として他党と組んで政権を運営していくしかない。最近はどこの国でも多極化、多党化が進んでいて、少数派政権は珍しくない。自民党は世界的にみるとかなり異質な存在で、非常に融通無碍にウイングを広く取ってリベラル派からタカ派までカバーする政党として、長らく生き残ってきた。それが今、行き詰まっているのだ。そうした中で、自民党はこの間続いてきた「清和会的」な政治に一区切りつけなければならない。つまり今回の総裁選は、その岐路であるという点で重要な意味があった。

 ―自民党がここまで退潮したのは何故でしょう。

 吉田 安倍晋三政権の時代には「自民党一強」と言われていた。しかし実際には、ほかの野党が弱い「多弱」の状態だっただけ。その中で自民党は、小泉純一郎政権以降に始まった清和会的統治様式をほぼ一貫して続けてきた。しかし新型コロナやウクライナ戦争、インフレなど内外の課題が浮き彫りになると、自民党・・・

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