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太平洋島嶼国で進む中国の浸透

脅かされる大海原の安全保障

2025年11月号

 中国が太平洋島嶼国に深く静かに浸透している。最近も中国の影響力を実感させる出来事が相次いだ。9月にソロモン諸島で開かれた太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議は、日米中台など域外パートナーを招待しなかった。会議関係者は「中国と国交を結ぶソロモンが台湾関係者にビザを発給しなかったのが発端」と語る。台湾と国交を持つパラオなどが猛反発し、「域外パートナーは全員不参加」で落ち着いた。
 同月、バヌアツはオーストラリアと締結するはずだった安全保障・開発協定の調印を先送りした。バヌアツ側は「国際社会からの多様な支援を受けられなくなる恐れがある」としているが、両国に近い関係者は「中国の横やりだ」と明かす。豪州は10月、パプアニューギニアと相互防衛条約を結んだが、パプア側が9月にいったん署名を見送ったため、「中国の介入か」と関係者を一時、色めき立たせた。
 16カ国・2地域が加盟するPIFメンバーのうち、豪州とニュージーランド(NZ)を除いた14カ国が、中国と台湾による外交戦の舞台になってきた。現在、台湾と国交を結ぶのはパラオ、マーシャル諸島、ツバルの3カ国しかない。
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