日本女子大学が１９０１年の創立から続く家政学部を２０２７年度の学生募集を最後に廃止する。大手メディアでも伝えられたこのニュースに４万人を超える家政学部の卒業生から賛否の声があがった。女子大をめぐる厳しい環境の中で、家政学部廃止は吉と出るのか。

女子大としての存在意義

　日本女子大に並ぶ都内の女子大トップ校といえば、お茶の水女子大学、東京女子大学、津田塾大学となるが、３校のうちかつて家政学部があった大学はどこか？
　答えは、お茶の水女子大のみである。暮らしの柱である衣食住を科学的に探究する家政学は文理融合的な学問分野であり、単に良妻賢母を育成する学校ではなかった。草創期の家政学部は現在の「リケジョ」が経済学、経営学を身につけるといったハイスペック人材を育成する硬派な学部だった。日本女子大の家政学部は日本の家政学をリードしてきたといってよい。
　出身者には、女性で２人目の農学博士となった栄養学者の丹下梅子に始まり、女性運動家で作家の平塚らいてう、女優の沢村貞子、プリツカー賞を受賞した世界的な・・・