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社会・文化

皇室を取り巻く「灰色医師」たち

上皇后さま担当医師「逮捕」の裏側

2026年1月号

 天皇・皇后両陛下をはじめとした皇室の健康管理は東京大学医学部が独占してきた。その関係はだれも異を唱えられない「聖域」だったと言っていい。そこに警視庁が踏み込んだ。上皇后さまの手術を担当した医師を収賄容疑で逮捕したのだ。皇室の主治医として権勢を振るってきた東大医学部と、利権を貪ろうとする「灰色医師」たちの特権が揺らぐ前兆かもしれない。
 現在、上皇さまは2025年12月に92歳となり、確認できる歴代天皇として最長寿を更新する。上皇后さまも91歳で、香淳皇后(享年97)に次ぐ長命である。
 高齢となれば病は避けがたい。これまで上皇ご夫妻は東大医学部附属病院に入院し、治療を受けている。上皇さまは25年7月に心筋虚血などの治療で入院し、上皇后さまも24年10月に大腿骨骨折で入院した。過去には、上皇さまが狭心症や前立腺がんを、上皇后さまが乳がんを治療した経緯もある。
 皇族が東大病院で診療を受ける慣行は明治以来、国家の頂点に立つ天皇と旧帝国大学トップの結合であり、日本の近代国家形成の過程を色濃く反映する。

全員が東大医学部卒業生・・・

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