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連載

新・危機管理のノウハウ Vol.12

【スリー ベクターズ】不測の事態を招く「三つの脅威」
マイケル・ヨハンネセン

2026年3月号

  今年1月20日、首都圏の精密機械メーカーの元社員が、不正競争防止法違反(営業秘密の開示)容疑で書類送検された。30代のこの元社員から情報を盗んでいたのは、在日ロシア通商代表部に所属していた30代のロシア対外情報庁(SVR)のスパイだったという。
 このケースは、スパイ工作に巻き込まれることを懸念している企業や組織にとっては、他山の石とすべき事例だ。セキュリティ上で起きうる不測事態というのは、人為的、技術的、物理的の三つに分類される。そして企業へのスパイ活動は、この三つすべてにまたがって起きる。つまりこの三つのベクター(vector)が混合して現れることに備えなければならない。
 人為的な脅威とは、過失であれ意図的であれ、欺瞞や強要などが使われる。スパイは標的となった人物に段階的タスクを与え、自尊心をくすぐり個人の弱みを突く。
 技術的な脅威は、組織のインフラが標的になり、スパイ側は内部で使うソフトウェアやシステム設計の欠陥を攻めてくる。
 物理的な脅威は、施設や設備、企業間の環境依存関係が標的になるが、対策は最も容易だ。
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