三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

連載

皇室の風 第210話

「国論二分する政策」
岩井 克己

2026年3月号

 いまや何十億もの人々が、50年前なら高層ビルを埋め尽くすほどの情報量を詰め込んだコンピューターをポケットに入れている。(略)規範と情報は国境を越えて移動し続けるだろう」
 昨年5月に死去した国際政治学者ジョセフ・ナイとプリンストン大学名誉教授ロバート・コヘインの連名のエッセイ『「アメリカの世紀」の終わり』の一文である。豪州元首相マルコム・ターンブルの「米同盟諸国は自立と連帯を―トランプに屈してはならない」と並んで『フォーリン・アフェアーズ・リポート』(2025年7月号)の巻頭に掲載された。日米関係に助言し続け「ジャパン・ハンドラー」とも呼ばれたナイの謂わば「遺言」である。
「トランプ政権は、アメリカのソフトパワーのもう一つの主要なツールである、リベラルな民主的価値への支持も控えている。特にこの半世紀で、人権擁護の価値は世界に広がりをみせた」「共有財のためにグローバル化の流れを変え、形を変えていくには、各国が協調しなければならない(略)残念ながら、貿易不均衡に強制的なハードパワーを用い、経済制裁を多用する第2次トランプ政権の短絡的なやり方は、米主導の国際秩序を強化す・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます