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連載

皇室の風 第218話

靖国の祭神
岩井 克己

2026年11月号

 NHKスペシャル「靖国神社 秘録 空白の戦後史」で、A級戦争犯罪人の靖国神社への合祀の経過を記録した総代会の議事録や録音テープなどの膨大な内部資料が初めて神社側から提供され、10月11日に放映された。
 31年前、戦後50年の節目に向けて、昭和天皇に半世紀仕えた元侍従長徳川義寛を説得し、戦中戦後の宮中の動きの証言を聞き書きした思い出が蘇った。なかでも靖国神社のA級戦犯合祀に対し宮中側で担当の侍従次長として抵抗しながら押し切られ、天皇当人が「皇軍」戦死者を祀る同神社への親拝を生涯拒むに至った痛恨の経緯の証言は衝撃的だった。初めて世に出る事実だろうと思い、慎重で寡黙だった徳川の怒りを抑えた言葉には「泉下の昭和天皇が徳川をして語らしめている」と、背筋を寒いものが走る思いだった。
「靖国神社は例年秋に合祀者名簿を持ってきて、陛下のお手元にあげていたのだが、あの年は遅れて持ってきた。やましいところがあったのでしょうか。A級戦犯を合祀するという。国会で戦犯遺族にも年金が出ることになったから合祀もすべきというんでしょ。私は、松岡洋右さんはおかしいと指摘したんです。靖国神社は軍人・・・

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