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社会・文化

破綻同然の核燃料サイクル

五十兆円という壮大な無駄づかい

2010年6月号

 一九九三年の着工以来、これまでに十七回にわたって竣工時期が延期されている青森県六ヶ所村の日本原燃再処理工場に、再び黄信号が灯り始めた。高レベル放射性廃棄物をガラスに閉じ込める最も重要なガラス固化体製造工程が、相変わらず「不調」なのだ。A級戦犯は文部科学省。カギを握る溶融炉の開発で「文科省が必要以上に日の丸技術に固執」(経済産業省幹部)したため、いまだに安全性が確保できないためである。
 五月初旬に十四年ぶりに運転を再開した高速増殖原型炉「もんじゅ」も、再処理工場のメドが立たなければプルトニウムを生み出すだけの迷惑施設となる。これ以上傷口が広がらないうちに核燃料サイクル全体を見直し、貴重な血税と人材の浪費をやめるべきだ。

十八回目の「延期」も現実味


 核燃料サイクルのユーザーとなる電力業界と経産省は、遅々として進まない再処理工場に憂慮し、和製技術の断念を文科省に求めてきた。だが、文科省はことごとく拒否し続けた。文科省は他の工程では、フランスなどの海外技術の採用を認めているのに、ガラス固・・・