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連載

西風 350

「貧困ビジネス」あの手この手
八木 亜夫

2010年7月号

 

 生活保護費をクイモノにする「貧困ビジネス」の検挙に大阪府警が着手、つぎつぎに逮捕された容疑者の調べから、全国にひろがる「囲い屋」の実態が明らかになってきた。偽装ボランティア団体のほか、大手不動産仲介業者もかかわる始末で、財政赤字に苦しむ地方自治体が、公金をうまうまとだまし取られていた。
「国民生活支援ネットワーク」などと自称する団体のメンバーや、弁護士を装って、大阪市内の公園などで生活困窮者に近づき、生活保護を受けることをすすめ、申請の手ほどきをして役所にまで同行。住宅も世話して囲い込み、食費・家賃などの名目で保護費を巻き上げる。初めはわざと家賃の高いアパートなどに住まわせ、市が低い家賃の住宅に移るよう指導すると、これを逆用して、転居費扶助金をだまし取る。三年間に八回も転居させられ、受給した敷金など三百万円以上を横取りされた母娘もいた。生活保護費のほか、国と自治体が負担、地域の社会福祉協議会が審査して、低所得者に転居費や教育費を貸し付ける「生活福祉資金」もねらわれた。生活困窮者の雇い主になりすまし、二人分の転居費用百万円の融資を受・・・