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朝鮮半島「騒乱」前夜

米国は金正恩にいつ何をするのか

2017年4月号特別リポート

 拉致問題一つ取ってみても、北朝鮮とまともにつき合っていたらウソとペテンで振り回されるのはわかり切っている。米国でのトランプ政権誕生に並行して、北は言葉と行動でこれでもか、これでもかと挑発を繰り返し始めた。米政権は発足後もうすぐ三カ月になろうとするのに、国防・国務両省をはじめとする官庁首脳人事が遅れており、朝鮮半島の重大事態に迅速な対応をするのは難しい状況にある。その中で、二月のマティス国防長官のソウル、東京訪問に加え、三月にはティラーソン国務長官が東京、ソウル、北京の順でそれぞれの国の最高首脳と会談した。主要なテーマはすべて北朝鮮だ。米側が発したシグナルは「対話」と「圧力」と称して「圧力」を加えなかった「過去二十年間の米国の北朝鮮政策は失敗だった」「トランプ政権は軍事力を含むあらゆる選択肢を用意する」の二つである。
 トランプ政権はオバマ政権の対北政策を大転換するとうたった以上、軍事攻撃のXデーはいつかに世界の関心は集中する。が、ことは単純ではない。北朝鮮の反撃能力を計算すると軍事攻撃のリスクはあまりにも大きく、力による解決策はその時機を逸してしまったとの消極論も米国内に存・・・