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経済

Jパワーがまさかの「ESG投資銘柄」に 選定基準のデタラメぶりが露呈

2020年9月号公開

 石炭企業の代表格、電源開発(Jパワー)がESG(環境、社会、ガバナンス)投資銘柄に組み込まれた。同社が選定されたのは、世界的な指数会社FTSEラッセルが開発したESGインデックス「FTSE4Gооd」と「FTSEブロッサム」。日本企業を対象とするFTSEブロッサムは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も採用しているインデックスで、投資家への影響は大きい。電源開発の関係者は「水力発電をはじめとする再生可能エネルギー事業の推進や新興国の電化促進に貢献してきた当社の姿勢がようやく認められた」と大喜びだ。
 しかし、電源開発は多くの石炭火力発電所を運営しており、環境に優しい企業とは言い難い。FTSEブロッサムには、二百社近い日本の大手企業が選定されているが、環境先進企業だけとは限らず、中にはENEOSホールディングス、日本製鉄、日本たばこ産業など環境とは相容れない企業もいる。ESGを重視する企業への投資は社会貢献にも役立つとされるが、電源開発の選定が、ESGの基準の曖昧さを浮き彫りにした格好だ。


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