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ウクライナ「戦後利権」に中国の魔手

米露を交えた「山分け」へ

2025年5月号

 ウクライナで中国に脚光が当たっている。大統領ボロドムィル・ゼレンスキーはロシア軍に加勢する中国人傭兵の存在を告発、中国企業がロシア領内で兵器製造に関与していると糾弾した。アメリカとロシア主導で停戦交渉が進むなか、中国はウクライナの何を狙っているのか。
 ロシアが占領するウクライナ東部ドネツク州に中国企業が進出している実態も明らかになった。リアルナ・ガゼータなどウクライナの複数のメディアが、少なくとも河南省の建機メーカー2社が同地で建設資材の合弁事業に乗り出していることを突き止めた。
 ロシアメディアも、ロシアの傀儡であるドネツク州政府の代表が頻繁に中国企業と接触し、ドンバス地方の石炭や冶金産業の再興に中国企業を誘致していることを報じている。ロシアはロシア本土と占領地域であるドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州、クリミア半島を結ぶ道路の建設などを計画しており、こうしたインフラ整備でも中国の資金を当て込んでいるという。

3大国それぞれの思惑

 ロシア軍は黒海へ続くアゾフ海に面した港湾都市マ・・・

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