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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》地域医療振興協会

医師不足で「大儲け」の拝金集団

2025年7月号

 苦境から救うオペレーションにも資金が要ることは、理解されやすい。作業の難度に応じた費用増大にも、人は概ね寛容だ。その心理につけ込み、利権目当てに大義を振りかざす振る舞いは、当初の志に曇りはなくても、存在意義を疑われる。高齢化と人口減少が進む地方や僻地の医療体制整備を大義とする公益社団法人「地域医療振興協会」の現状は、その典型例だ。
 自治医科大学OBが中心になって1986年に始動した地域医療振興協会は、設立目的に地域医療の支援と地域振興を掲げ、医療人、住民、行政と三位一体で限られた医療資源を有効活用し、継続的、包括的な医療の「計画・実践・評価」を標榜する。
 東京都千代田区平河町の海運ビルに事務局を置き、2025年5月現在、27病院、40診療所、11の複合施設(診療所と介護老人保健施設等)、8介護老人保健施設、2看護専門学校の計88施設を抱え、うち70施設の運営は行政から指定管理者として請け負っている。
 自治体からの依頼に応じて僻地医療の専門家を派遣し、指定管理者として仕切る地域医療振興協会の存在感と評価は、自治体担当者が医療専門家とは限らない中、少子・・・

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