私は米国務省の外交官として約10年間勤務した後、米中央情報局（ＣＩＡ）諜報員として世界各地で活動してきた。敵の極秘情報を収集しながら28年を過ごした。
　ＣＩＡの任務に必要なのは冷静さだ。集中して活動できることが絶対条件であり、興奮しやすい人間は向いていない。
　１年前に退局し、現在は企業とビジネスをしているが、過去の経験が大きく貢献している。私はＣＩＡでビジネス業界との官民連携を担っていた。また、これまでに構築した国際的な人脈がビジネス面で大きな役割を果たしている。
　私はＣＩＡ時代、世界40カ国ほどの政府と直接協力して、テクノロジーやサイバー・セキュリティ、データ戦略などを練ってきた。
　そんな経験から学んだのは「レジリエンス（適応力）」の重要性だ。ＣＩＡにおけるレジリエンスとは、常に変化する厳しい環境において適応していく能力のこと。その上で、中核となる任務では決してぶれてはいけない。経済活動の場合、主要な目標や来年の予測を明確に持った上で、ビジネス環境や競合相手が変化していく過程で柔軟に適応する能力を維持することが重要になる。
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