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経済

《地方金融の研究》滋賀銀行

ファンドの「魔の手」に怯える日々

2025年7月号

 弱り目に祟り目―。まさにそんな思いに違いない。次期勘定系システムの開発に躓いて悶絶する滋賀銀行にまた一つ厄災が降りかかろうとしている。
“凶事”をもたらしたのはIT大手の富士通だ。今年6月初旬、ATM事業からの撤退を表明した。「SBT(スーパー・バンキング・ターミナル)」や「UBT(ユニバーサル・バンキング・ターミナル)」などと呼ばれている銀行の営業店(窓口)専用端末からも手を引く。2028年3月末で製造・販売を停止し、保守・サポートも最長36年3月末で打ち切る。
「昨年末頃から何やらキナ臭さは漂っていた。ハードウェアビジネスに次々と見切りをつけてきた富士通だけに『さもありなん』と覚悟はしていたものの、それにしてもタイミングが悪過ぎる」。滋賀銀関係者らの嘆き節が止まらない。
 滋賀銀のATMと営業店端末は大半が富士通製だ。その富士通が撤退を打ち出した以上、今後それらを順次、他社製に置き換えていく必要に迫られるが、その転換までの期間が次期勘定系システムへの移行期間とまともにぶつかる可能性が出てきたためだ。
 ATMからの入・・・

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