皇室の風 第202話
横路孝弘の遺言Ⅱ
岩井克己
2025年7月号
今春、「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれた知日派米国人の双璧が相次いで亡くなった。
海軍軍人で元国務副長官リチャード・アーミテージ(4月13日没、享年79)と元国防次官補の国際政治学者ジョセフ・ナイ(5月6日没、享年88)。数次にわたる連名の論文『アーミテージ・ナイ報告』は、憲法第9条の形骸化と日米安全保障条約の軍事同盟化を推進する構想を打ち出し、日米外交でブレーン役を果たした。事実上の「改憲」を時に狡猾に、時に強引に完遂したのが安倍政権だったが、主役の安倍晋三も2022年7月8日に銃弾に斃れている。
ただ、こうした憲法9条を形骸化し日米軍事同盟強化へと途をひらいた「主役」たちは、その「歴史的役割」をほぼ完遂したともいえる。その影に、なし崩しの「平和憲法」形骸化に警鐘を鳴らしながら十分に歯止めをかけられなかったのを悔やみつつ2023年2月2日に亡くなった、もう一人の「影の主役」が元衆院議長横路孝弘だったろう。
安倍の祖父岸信介政権の1960年安保条約改定の強行に抵抗し、その後も日本社会党の「安保五人衆」の一人と呼ばれた衆院議員横路節雄の次男。父節雄の・・・
海軍軍人で元国務副長官リチャード・アーミテージ(4月13日没、享年79)と元国防次官補の国際政治学者ジョセフ・ナイ(5月6日没、享年88)。数次にわたる連名の論文『アーミテージ・ナイ報告』は、憲法第9条の形骸化と日米安全保障条約の軍事同盟化を推進する構想を打ち出し、日米外交でブレーン役を果たした。事実上の「改憲」を時に狡猾に、時に強引に完遂したのが安倍政権だったが、主役の安倍晋三も2022年7月8日に銃弾に斃れている。
ただ、こうした憲法9条を形骸化し日米軍事同盟強化へと途をひらいた「主役」たちは、その「歴史的役割」をほぼ完遂したともいえる。その影に、なし崩しの「平和憲法」形骸化に警鐘を鳴らしながら十分に歯止めをかけられなかったのを悔やみつつ2023年2月2日に亡くなった、もう一人の「影の主役」が元衆院議長横路孝弘だったろう。
安倍の祖父岸信介政権の1960年安保条約改定の強行に抵抗し、その後も日本社会党の「安保五人衆」の一人と呼ばれた衆院議員横路節雄の次男。父節雄の・・・