三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

連載

新大学評判記 第67話

滋賀大学 AI「全学導入」の拙速に懸念

2025年7月号

 滋賀大学が今年4月1日に米OpenAI社の教育機関向け専用AIである「ChatGPT Education」を国内の大学で初めて全学に正式導入した。ChatGPTなど汎用AIは既に大学では研究者、学生に利用されているが、あくまで個人の判断、裁量に基づく利用で、大学は原則やガイドラインを示しているだけ。滋賀大は一歩踏み出し、AIの積極利用を全学に推奨する。世界の高等教育機関では「AIが学生の論理的思考力、創造性の伸びを妨げる」という議論が強まっており、滋賀大の導入には深刻な懸念がある。
 OpenAIが2022年11月にChatGPTを公開して以来、人間の知能・知性との関係性、他人の知的成果物の剽窃リスク、誤情報や虚偽ニュースの混入、さらにAIが事実ではない情報を提示する「ハルシネーション(幻覚)」が指摘されてきた。こうした問題についてAIや情報科学の研究者、哲学者、脳科学者、ICT産業の実務家、政策当局者など幅広い層が議論を展開しているが、決着しておらず、教育におけるAIの規制やあるべき利用法についての方向も定まっていない。

「二匹目のどじょう」狙いか・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます