本に遇う 第317話
争いの絶えない地球
河谷 史夫
2026年5月号
昭和老人としては、Ⅹ(旧ツイッター)だのユーチューブだのSNSにはお付き合いがない。ひねもす漫然とテレビをつけているだけだが、ドラマ「テミスの不確かな法廷」(NHK)には珍しく引き込まれ、全8話を見た。
安堂清春(松山ケンイチ)は自閉スペクトラム症と注意欠如多動症を抱え、子供の頃から他人と違うことにこだわり、何事も突き詰めないと気が済まない。普通からは外れがちで、検事の父親に「お前は宇宙人だ」と言われる。「宇宙人の僕が地球人の争いごとを裁く」と裁判官になった。
地裁支部に転じてきた安堂は任官7年目の特例判事補である。自ら現場を踏み、被告の住まいを訪ね、聞き込みをやり、独特の訴訟指揮をする。かくて市政の腐敗を暴き、過重労働の実態を突き止め、無戸籍の少女を救い、そして「死後再審」の道を開く。ただ勝った、負けただけで終わる法廷ドラマの域を超えた出色の出来で、冤罪が絶えることのない司法界への痛烈な批判になっている。
再審は「開かずの門」で、開かれても審理は延々と続く。無罪判決まで免田事件で34年、袴田事件では44年かかった。検察が抗告を繰り返し、証拠の全面・・・
安堂清春(松山ケンイチ)は自閉スペクトラム症と注意欠如多動症を抱え、子供の頃から他人と違うことにこだわり、何事も突き詰めないと気が済まない。普通からは外れがちで、検事の父親に「お前は宇宙人だ」と言われる。「宇宙人の僕が地球人の争いごとを裁く」と裁判官になった。
地裁支部に転じてきた安堂は任官7年目の特例判事補である。自ら現場を踏み、被告の住まいを訪ね、聞き込みをやり、独特の訴訟指揮をする。かくて市政の腐敗を暴き、過重労働の実態を突き止め、無戸籍の少女を救い、そして「死後再審」の道を開く。ただ勝った、負けただけで終わる法廷ドラマの域を超えた出色の出来で、冤罪が絶えることのない司法界への痛烈な批判になっている。
再審は「開かずの門」で、開かれても審理は延々と続く。無罪判決まで免田事件で34年、袴田事件では44年かかった。検察が抗告を繰り返し、証拠の全面・・・









