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連載

をんな千一夜 第112話

その才能が招いた悲劇
石井 妙子

2026年7月号

 男性が社会の中心におり、人事権を握っている限り、引き立てられる女性は必然的にトップに立つ男性によって選ばれる。
 自分よりも能力の高い女性、自分に楯突く物言う女性は「かわいげがない」と嫌われる。悪評を故意に立てられ、居場所を奪われることさえあると、私と同世代のキャリアウーマンたちは嘆く。
 組織の頂点に立ち、絶対的な権力を持つ男性に嫌われた才女の悲劇―。前々から読みたいと思っていた女流俳人、杉田久女の生涯を丹念に掘り起こした評伝『真実の久女』を読み終えて、改めて彼女の不幸を考えさせられた。
 高浜虚子が主宰する「ホトトギス」の同人として、いくつもの名句を発表しながら最後は虚子に疎まれ、俳人としての人生を奪われ、命をも枯らした杉田久女。これまで久女は、虚子が悪意を持って広げた風評を基底として様々に物語化されてきた。最も世に知られた作品は松本清張の「菊枕」であろうが、ここでも久女をモデルとしたヒロインは、俳句にのめり込んで師匠に異常なまでに執着し、精神を破綻させていく女として書かれている。
 杉田久女は赤堀久として明治23(1890)年、鹿児島で生・・・

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