三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

WORLD

盟主「凋落」サウジアラビアの孤立

イエメンで迫られる「屈辱的譲歩」

2026年11月号

 サウジアラビアを苦しめているのは、イエメンのフーシ派が放つドローンやミサイルだけではない。10月初旬、首都リヤドの国際空港が攻撃され、多数の死傷者が出た。イランへの攻撃開始以降、湾岸諸国が受けた被害としては最大級となった。
 しかし、サウジアラビアが直面する問題は、フーシ派への軍事的対処にとどまらない。イエメンの混乱に乗じ、イスラエル、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)が、それぞれの戦略的利益を追求し、あらぬ企てを目論んでいるからだ。サウジアラビアは安全保障上の脅威に対処すると同時に、周辺国による地政学的な圧力にも向き合わなければならなくなった。
 フーシ派とサウジアラビアの対立には、宗派的な背景だけでは説明できない、長い歴史がある。フーシ派は、イスラム教シーア派の一派であるザイド派を基盤とする。ザイド派はイエメン北部の山岳地帯を中心に信仰され、かつて同地域にはザイド派の王朝が支配するイエメン王国が存在した。
 1932年にサウジアラビア王国が成立した後、両国は国境をめぐって衝突した。34年のサウジ・イエメン戦争を経て、ナジュラーンやジーザーンなどの地域・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます