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中国に「強奪」される東シナ海

菅政権「外交無能力」が招く恐怖

2010年10月号特別リポート

 パンチの応酬すらなく、日本国家は凄まじい中国の連打を浴びた末、ワンラウンドで崩れ落ち、マットに身を投げてしまった。
 沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件で、日本政府は九月二十四日に、公務執行妨害容疑で逮捕され、拘置中の中国人船長を何と処分保留のまま釈放してしまった。とことん嘗めたのだろう。中国は二十五日に日本に対して「謝罪と賠償」を求めてきた。同時に尖閣諸島沖に監視船二隻を出してきたが、日本はなす術なし。
 日本領海に中国漁船が侵入し、それを咎めようとした日本の海上保安庁巡視船に中国漁船が意図的に衝突させた単純な事件なのに、丹羽宇一郎中国大使は五回にわたって中国外務省に呼びつけられた。前原誠司外相は「呼ばれたのは三回で、二回は大使が抗議に行った」などとどうでもいい訂正発言をしているが、そもそも大使を呼びつけて文句を言うべき国なのはどちらなのか。
「中国政府は国内世論の高まりと日中関係維持の板挟みに立って困っている」といったまことしやかなデマを日本のマスコミは伝えている。中国の漁船に海保の巡視船が衝突してきたとの「誤報」をニュース速報したのは・・・